4:水たまりでの出来事(前半)
じいちゃんは、魚を捕るのが得意でした。
いつも夏が近づくと、じいちゃんはどこかに出かけていって、
いっぱい魚を取ってきました。
ばあちゃんと母ちゃんは、その魚を使った料理を作ります。
その為、玉葱小屋の一角には、魚を取る道具が色々置いてありました。
その中には、網や竹製の編み籠のようなものもありました。
しかし、僕にはその道具をどのように使うかまでは
分かりませんでした。
そして、暑い夏のある日、じいちゃんが僕と兄ちゃんを、
西の川へ行こうと誘ってくれました。
「なんで、こんな暑い日に川へいくの?」
と、僕がじいちゃんに聞くと、
「行けばわかる。」
と言う。
兄ちゃんに聞くと、ただ笑っているだけでした。
じいちゃんは、何か手に網を提げていました。
僕と兄ちゃんは、バケツを持って、じいちゃんの後についていきました。
その川は、川幅がすごく広い大きな川でした。
又、その川は、いつもは水がたくさん流れているはずのに、
今は、水が、全く流れていません。
川が原っぱ状態でした。
「じいちゃん、川に水が流れていないよ!なんで?」
と、僕が聞くと、じいちゃんは
「今は、たんぼに水をたくさん送る必要があるから、
上(カミ)で川を堰き止め、たんぼへの用水路の方に水を流している。
だから、こちらの川には水が流れてこないからだ。」
と言う。
(なるほど!だから、家の近くの川には、又、たんぼに入る小さな川でも
今は、たくさん水が流れているのだな!)と心の中で思った。
川の堤防を下りてしばらくすると、まあまあの大きさの水たまりがあった。
近づいてよく見ると、水の中に魚がいっぱいいるのがわかった。
(じいちゃんは、何でこんなこと知っているのだろう?)と、
僕は、関心していました。
すると、じいちゃんは僕の知らないうちに網を水たまりの両端に張っていた。
じいちゃんは、
「隆司、魚をぼってくれ!友仁も兄ちゃんと同じようにやって!
足、すべらせるなよ!」
「うん!わかった!」
と、兄ちゃんと声を合わせて答えた。