6:ポチの一人散歩(後半)
そして、ひろし君にポチを紹介した。
ひろし君も、ポチを撫ぜたりして、かわいがってくれた。
ポチも、ひろし君にすぐ慣れてくれた。
そのあと、僕はひろし君と色々遊んだ。
その間、ポチは柿の木の所に繋いでおいたが、
ずーと、僕たちが遊んでいるのをおとなしく見ていてくれた。
僕たちも遊び疲れ、僕は、ひろし君に
「じゃー、又ね!」
と言って、家に帰ることにした。
ポチのくさりを柿の木から外し帰ろうとすると、
ポチは、元気になり、僕の前をゆっくり歩き始めました。
今回の帰り道は、あのよく吠える犬の家の前を通ることにした。
ポチは、来た道を覚えているようで、トコトコと
軽い足取りで帰り道を進んでいった。
あの吠える家の前になっても、ポチは何事もなかったように
すいすいと過ぎていった。
いつも吠えるあの犬も、今回はちらっと一度見ただけで
何も吠えませんでした。
(ポチは、なんちゅう犬なのだ。)と、僕は、又、つくづく思った。
家について、ポチを玉葱小屋の柱に繋ごうとした時、
ふと、僕は、
(ポチなら、いつも僕と散歩している道をよく覚えていて大丈夫だろう!
ポチなら、ひとりで散歩できるのではないか?)
と、思うのと、僕はひろし君と遊び疲れたせいもあり、
僕は、ポチに言った。
「ポチ、今日は一人で散歩してきていいよ!
帰ってこなくてもいいよ!」
と、心にもないことを言って、首輪の所で止めているくさりを
外してやった。
すると、ポチは、きょとんとしていたが、自分の体が急に
自由に動けることが分かったのか、家の外の道へ
尻尾を振って、元気に出ていった。
僕は、また来てね という思いと、
もう帰ってこなくなるかなという不安と
入り混じった心境で、その後姿を見ていました。
暫くして、家の中に入って、夕飯を食べながら、
父ちゃんや母ちゃんに今日あったことを話していると、
家の入口の所で、ポチが、尻尾を振りながら、
「クオーン、クオーン」と鳴いた。
ポチは、帰ってきたよと僕に言いたいようでした。
すると、お母ちゃんが、
「ほら、友仁、ポチ、お腹すかせて帰ってきたよ!」
と言った。
僕は、すぐポチの所に行って、
「ポチ、良く帰ってきてくれたな。よしよし。」
と言って、ポチの頭を抱いて、体中を優しくさすってやった。
すると、ポチは僕の顔をぺろぺろ舐めてくれた。
母ちゃんはそれを見ていて、
「友仁、ポチにご飯をやって!」
と言って、ポチのオワンにご飯を入れてくれた。
僕は、すぐオワンを持って、玉葱小屋の柱の所に行き
ポチのそばに、オワンを置いてやった。
そして、ポチの首輪にくさりをつけた。
ポチは、くさりをつけられる事を全く苦にしないで、
ひたすらオワンの御飯を食べていた。
僕は、その時、本当に安心したのと、ポチが家族の一員になったような
気がした。
それから、僕はいつも学校から帰って、ポチの散歩の時間になると、
ポチの首輪の所でくさりを外してやることにした。
僕が帰ってくると、くさりを外してくれるのが分かっているので、
尻尾を振って、又、喜ぶようになった。
そして、くさりを外してやると、家の外に、一目散に走っていきます。
そして、20~30分すると、すっきりした様子で、帰ってきます。
又、玉葱小屋の柱の所に来ます。
なので、僕がいなくても、家の誰かにくさりを繋いでもらうようになりました
これが、ポチの日課になっていきました。
そして、ある日、じいちゃんがポチの犬小屋を作ってくれました。
小さい犬小屋だったけど、ポチには充分すぎる大きな犬小屋でした。
僕は、玉葱小屋の横の雨のあたりにくい所に、ポチの犬小屋を置いてやりました。
それから、僕は、犬小屋の中にきれいな藁を敷き詰めてやりました。
ポチは、その小屋をすぐ気に入ってくれて、くさりをつけたままで、
夜は当然、昼間でもその中で眠るようになったのでした。