8:背中の傷(後半)
僕は、翌日、朝起きると、すぐ、ポチの所へ見に行きました。
ポチは、いつもの元気はないけど、出てきて、僕に挨拶はしてくれました。
僕は、母ちゃんにオワンにご飯を貰い、ポチにやりました。
やはり、いつものような元気はないが、昨日ほどではなく、
ご飯を食べ始めました。
ポチの背中を見ると、やはり、ひっかけキズの跡は残っているが
血は止まっているようでした。
僕は少し安心して学校に行きました。
学校が終わって、帰ってくると、ポチはいつものように小屋にいましたが
やはり、元気がありませんでした。
それで、今日は一人散歩はやめて、くさりを繋いだ状態で
僕と散歩することにしました。
くさりを括り付けてある柱からくさりを外しても、ポチの足取りは
いつもと違って、元気のない様子でした。
僕は、ゆっくり、ポチの前を歩きながら、
家の外の道へ出て行きました。
ポチは、最初はゆっくりでした。
何かきょろきょろしながら、歩いていました。
しかし、ポチは、段々いつものようにぼくについて
歩くようになり、時には前を歩いたりしました。
あー、大丈夫だな。でも、当分は一人散歩はやめておこうと思いました。
そして、数か月が過ぎました。
母ちゃんが、
「ポチ、最近 お腹大きくない?子供できたのかな?」
と、言いました。
僕は、びっくり!
「エー!ポチ、オス犬じゃないの?メス犬なの?」
と、言うと、母ちゃんは
「エー!友仁、そんなこと知らなかったの?
てっきり知っていると思っていたよ。」
と、言うのでした。
父ちゃん、じいちゃんにも聞きましたが、返ってくる言葉は
母ちゃんと同じでした。
「そうか、ポチはメス犬だったのか。」
と、つくづく呟くのでした。
その後、あ!と思い当たることを思い出しました。
数か月前、ポチが背中にキズをつけて帰ってきたことを!
原因はこれだったのかと思うと同時に
子犬が産まれる事のうれしさもありました。
ポチから生まれてくる子犬は、おそらくポチに似て
賢い犬たちだろうと、
僕はそんなことを思いながら、又 数日を過ごしました。