3:出会い(後半)
一が、西の川を探検していると、
カエルがびっくりして飛び込んだり、
亀が一をキョロキョロみて、逃げたりもしました。
時には、ナマズの家族が一緒に泳いでいることもありました。
親ナマズと、子ナマズは、それはそれは
大きさが全く違っていました。
一が近づくと、子ナマズは泳ぐのに必死でした。
竹藪からは、大きい蛇も小さい蛇もよく出てきました。
そのたびに、一はびっくりしたが、
こういった動物、生き物がいるんだなと
感心させられていました。
そういった感動が好きで何度も何度も
川探検をするのでした。
又、ある時、いつも捕まえて逃がしている魚とは
全く違う、凄いスピードで上っていく魚がいました。
それを、合流地点近くまで必死に追っかけ、
なんとか、石垣で水が堰き止めてあった所で
捕まえたら、なんとそれはアユでした。
こんな小さな川にもアユが来るんだと思い
又、石垣の上流側に逃がしてやりました。
アユは勢いよくあっという間に上流の方に
泳いで行き見えなくなりました。
川探検を、何度も繰り返しやっているうちに
蛇を見ない時は、合流地点近くに由紀ちゃんはいないが、
蛇を見た時は必ずと言っていいほど
由紀ちゃんがいて、一を見ていることが
多いように感じた。
一は、小さいころから、よく夢を見ます。
楽しい夢、こわい夢、色々見ます。
ある時の夢は、友達と夕方までいっぱい遊んでいて、
さあ、帰ろうとしているのに、道がわからなくて、
なかなか家に帰れないという内容の夢。
最近は、一がどこの川かわからないが、
魚がいっぱい登っていくので、それを辿っていくと
両側が竹藪で覆われた川になり、
今度は蛇がたくさん出てくる。
それを追いかけていくと、今度は、
一を次から次へと蛇がいっぱい追いかけてくる。
一は、つかまりそうになるが、必死に逃げる。
「もうだめだ。助けてくれ!」と叫ぶが
声になりません。
そこで、パーッと夢から覚める。
あーあ、夢でよかったと思うのと同時に
その追いかけてくる蛇の目は、どこかで
見たような目をしているのでした。