6:タマネギ小屋事件

一の家は、昔から農家で、主にお米とタマネギを
作っていました。
タマネギは、11月頃に苗を植え、
翌年春の5月ごろ収穫します。
お米は、6月頃田植えし、10月頃収穫します。
それぞれの収穫は、家族みんなで行い、
一も、出来る事を手伝います。
タマネギは、収穫するとすぐ乾燥させる為、
タマネギ小屋の竹竿に、縄で縛って
引っかけて吊るします。
タマネギ小屋は、一の家の周りに、3軒あり、
大きい小屋は、高さが7~8mぐらいありました。
高い所へ竹竿に引っかけて吊るすのは大変です。
父や母は、夕方から夜遅くまで電気をつけて、
その作業を、やっている事もありました。
それを終わらせないと、田植えの準備作業が
出来ないからです。
その後、田植えが終わると、9月までぐらいに
竹竿に掛け吊るしてあるタマネギを順次外し
選別し、出荷していきます。
その途中で、いっぱい蛇の脱け殻が出てきます。
その蛇の脱け殻は、薄茶色ですが、殆どが
アオダイショウの脱け殻でした。
父から見せてもらい、
「今日は、2個出てきたぞ。」
と、聞かされると、
一は、このタマネギ小屋は、蛇にとっては、
住みやすい所なのかな?と思ってしまいます。
又、タマネギ小屋の横には、タマネギを吊るす竹や
タマネギを縛る為の藁が積んでありました。
ある時、一のじいちゃんが、その竹や藁を整理していました。
一は、友達とその近くでかくれんぼして遊んでいました。
すると突然、じいちゃんが、僕たちの方に、
何かを火箸でつまんで投げました。
一たちは、何かが飛んできたぞと思った瞬間、
それが一たちのすぐそばの地面に落ちました。
それを見て、みんなびっくり、すぐ逃げました。
それは、なんと、蛇、アオダイショウでした。
一たちがびっくりして逃げる方向に、
又、じいちゃんは、何かを投げるのです。
一たちは、スローモーションを見ているかのように
それは、一たちの頭上を飛んでいき、一たちの目の前に
落ちてきたのです。
それで、またまた、びっくり。
なんとまた、アオダイショウでした。
一たちは、それを踏まないように、
逃げていったのでした。
じいちゃんは、
「わっ、はっはー。」
と、笑っているだけでしたが、
一たちは、本当に生きた心地ではありません。
しかし、蛇も大変で、地面に落ちるなり、
必死でどこかへ逃げていきました。
その時から、一たちは、
あのじいちゃんには、気をつけようと思うのと
竹や藁が積んであるところには、
蛇がよくいるのだと、知りました。
確かに、竹や藁が積んである所の近くの石垣に、
蛇が這っているのをよく見る事を、
一は、思い出していました。