8:自転車事故(前半)

一は、兄のお古だけど、小さいころから自転車に乗っていた。
最初は、左右補助車付きで、小学校に上がる頃には
補助車なしで何とか乗れるようになっていた。
一は、今度 由紀ちゃんと遊ぶ時に、
神社の北側の坂道を自転車で下りる所を見せたくて、
前もって、練習しに行くことにしました。
その坂道は、緩やかな下り道で多少デコボコしていましたが
降りれない道ではないと一は思いました。
最初は、ブレーキをかけながらゆっくり下りて行きました。
少し時間がかかったが、なんとか下りれた。
2回目は、ブレーキをあまりかけないように下りて行きました。
最初より、少しスピード出ていたが、何とか下りてこられたので、
少し自信がつきました。
今度で、今日の練習はこれで最後にしようと思い、
少しスピードが出ても、できるだけブレーキを
かけないようにしようと思い、スタートしました。

途中までは、スムーズでしたが、最後の20mぐらいの所で
急に左下から強い風が吹いてきました。
自転車の勢いもあり、坂道のデコボコにハンドルがとられ
前輪が少し宙に浮いた状態になりました。
それで、一は怖くなり、咄嗟にブレーキをかけてしまい、
自転車と一緒に転んでしまいました。
自転車は、左の川側に、一の体は、左からの強い風で、
右の丘側の方に転げ落ちてしまいました。
その時、一は、転がる方向に大きな石があるのを見ました。
一は、あー 石にぶつかると思い
目をつむってしまいましたが、
その時、又さらに強い風が下から吹いてきて、
一の体が一瞬宙に浮いたようになり、
すれすれの所で、その石にぶつからずに済んだのでした。
そして、一が気が付くと
一は、大きな石の手前でかろうじて止まっていました。
直接、一の体が、その石にぶつからずにすんだというよりも
その時、何かに助けられたような感じがしました。
一は、痛い体をゆっくり起こそうとしましたが、
体を強く打っているようで、
すぐには起き上がれませんでした。
しかし、暫くして、胸は少し痛いが、
なんとか体を起こせるようになりました。
気が付くと、一の周りにウサギが何匹もいて、
一が起き上がるのを見届けたかのように、
丘の方に消えていきました。
ウサギたちがいなくなったなと思ったら、
今度は何匹もの蛇がぞろぞろ出てきて、
一が起き上がるのを見て、
丘の草むらの中に消えていきました。
そして、最後に小さい白蛇が出てきて、
一をじーと見てから、スルリスルリと、
丘の草むらの中に消えていきました。
一は、何が起きているのか全くわかりませんでした。
しかし、一命はとりとめたという安心感と、
胸がすごく痛いのに気づいたのでした。
そして、今起きていたことが夢ではないと
気づいたのでした。