4:初めての先生(前半)
翌日からは、歩く時は少し早めに歩くように、
又、雨が降った時は、水たまりを避けて
ピョンピョンと少し飛び越えながら
学校に行くようにしました。
その為か、雨の降った日は学校に着く頃には、
長靴の中に水が入って、グジョグジョでした。
その為、学校の靴箱の前で、長靴を逆さにして
よく乾かしていました。
僕ら一年生は、41人ひとクラスで、担任の先生は、
山田先生という女の先生でした。
かあちゃんより少し年上の先生で、
ねえちゃんに、山田先生の事聞くと、ねえちゃんは
山田先生に教えてもらったことがないのでわからないそうです。
しかし、ちょっと怖い先生のようだと言っていました。
でも、長靴を逆さにして乾かしていても何も怒ったりせず、
ただ、眺めているだけでした。
と言うのも、そういった雨降った時は、他の子も
似たり寄ったりで、靴を逆さにして乾かしていたからです。
又、学校から帰る時に雨が降り出したりした時は
山田先生は、みんなに
「傘いる人、手上げて。」
と聞きます。
傘のいる人は、手を上げて、その数だけ、山田先生は、
傘を用意してくれます。
そして、先生は、一人ひとりに傘を渡す時、
「明日、又 返す時は必ず傘を乾かして持ってきて。」
と言います。
そういった優しい所もありました。
でも、それは最初のうちだけで、慣れてくると何も言わなくなりました。
でも、やはり 授業時間は、とても厳しかった。
特に、毎朝授業が始まる前です。
僕は、みんなと一緒に ワーアワーア、ガヤガヤ騒いでいる所に
先生が教室に入ってきます。
先生は、教室に入るなり、
「みんな、席について!静かにして!」
と大きな声で叫びます。
しかし、直ぐには静かになりません。
教室の後ろの席の方の僕たちの辺りが
いつも最後まで煩かった。
そして、僕たちは周りの異変に気付き
先生が来たことを知り、静かになる。
時には、先生に叱られ、教室の後ろに立たされることも
ありました。
そんな状態ですから、僕は勉強がなかなか好きになれず
当然、できませんでした。
でも、体育はなぜか好きでした。頭を使わなくてもいいから。
秋に初めての運動会がありました。
朝、学校に行く前に、かあちゃんが、
「ケンちゃん、
かあちゃん、今日は運動会見に行けないけど、
ねえちゃんと二人頑張ってね!」
と言います。
僕は、少しがっかりしたけど、内心、ほっとしていました。
なぜなら、走り競争は苦手だったからです。
かあちゃんは、ねえちゃんにも話し、僕らは学校に行きました。