5:練習方法(前半)

1年生も終わる2月のある日曜日
かあちゃんが、僕と相撲をしようと言いだして、
取ることになりました。
「ケンちゃん、どれくらい強くなったかな?」
僕は、毎日 少しづつだけど早く歩いたりして
練習していたつもりなので、
「去年よりは、強くなっているはず。
かあちゃんには負けないぞ!」
と言って、かあちゃんに向かいました。
かあちゃんが、
「はっけよーい、のこった。」
と言って、僕はかあちゃんに思いっきりぶつかっていきました。
かあちゃんは、大分力ついてきたなと、思いながら
ケンちゃんを受け止めた。
しかし、そのあと、かあちゃんは軽く僕が怪我しないように
投げ飛ばしました。
僕は、あれ、なんだ、かあちゃんの方が力ある、強いと思いながら
かあちゃんに投げ飛ばされていました。
僕は、
「もう一回。」
と言って、もう一度 かあちゃんにぶつかっていきましたが、
やはりダメでした。
僕は、やっぱりダメかと思っていると、かあちゃんは、
「ケンちゃん、去年より少し力付いてきているよ。
ケンちゃんは、今はまだ体が小さく、力弱いけど、
だんだん力付いてきて、そのうち、
かあちゃんなんか、簡単に投げ飛ばされちゃうよ。」
とまた前と同じことを言うのでした。
僕は、そうかな?と心配でした。
数日後、僕はじいちゃんの家に行きました。
じいちゃんは、相撲が好きで、テレビで相撲がやっている時は
必ず見ています。
僕は、じいちゃんに
「何で、じいちゃんは相撲をよく見ているの?」
と聞くと、じいちゃんは、
「それは、面白いからだよ。」
僕が、続けて、
「どこが?」
と聞くと、じいちゃんは、
「お相撲さんどうしが、力と力をぶつけ合っているからだよ。
相撲取りの人は、毎日毎日、朝から体一つで
練習しているからだよ。」
と言うのでした。
僕が、
「僕も、毎日何か練習したら、
あのお相撲さんのように力つくかな?」
と言うと、じいちゃんは、
「その通りだよ。
ケン坊は、どうしたいの。」
と聞きました。
僕は、じいちゃんに説明しました。
実は、ある小さい水路を、ねえちゃんたちが簡単に
飛び越えるけど、僕はまだできない。
なので、僕もそこを飛び越えれるようになりたいと。
すると、じいちゃんは少し考え込んでから
「ケン坊、今度の日曜日の9時頃、
じいちゃんの家に来い。
じいちゃんが、ケン坊の練習方法を
考えておくから。」
僕は、うれしくなって、
「うん、わかった。」
と言って、家に帰った。
家に帰ると、みんな帰っていた。
僕は、かあちゃんに
「かあちゃん、じいちゃんに話したら、
じいちゃんが僕の為に力付くように
何か、練習方法を考えてくれるって言ってくれた。
今度の日曜日、じいちゃんの所に行ってくる。」
と言った。
かあちゃんは、体の弱いケンちゃんでも
できる事を、じいちゃんは考えてくれると思った。
かあちゃんは、
「そう、それは良かったね!
ケンちゃん、頑張ってね。」
と言ってくれた。
僕は、じいちゃんがどんな練習方法を考えてくれるのか楽しみで、
日曜日が待ち遠しくなりました。