8:きれいな先生(後半)
その日、家に帰って、その事をかあちゃんに話しました。
かあちゃんは、
「ケンちゃん、それは良かった。
いい先生で!
じゃー、これから、ケンちゃんはどうしたいの?
それを、自分でよーく考えなさい。」
と言われました。
僕は、
「うん、わかった。」
と答えるしかありませんでした。
それからは、僕は、かあちゃんに言われたことを思い出し
自分なりによーく考えていました。
そして、1番に頭に浮かんだのは、僕は先生に褒められるように
しようという事でした。
それにはどうしたらよいかを考えました。
じゃー手始めに学校の勉強を頑張ってみようか、
国語、算数など苦手だが、やってみようかと思いました。
翌日、かあちゃんに、その事を話しました。
すると、かあちゃんは、
「なるほど!
いい考えだね。」
と言ってくれました。
すると、かあちゃんは何かねえちゃんに話をしていました。
翌日、ねえちゃんは、3年生の学習辞典という本を買ってきました。
そして、ねえちゃんは、
「ケンちゃん、はいどうぞ。
勉強、がんばってね。」
と言って、その本を僕に渡してくれました。
小学校には図書室はありましたが、今までは僕には
全く、関係ない所でしたので、一度も行った事ありません。
よって、こんな分厚い辞典など中を見たことすらありません。
僕は、あー、昨日、かあちゃんがねえちゃんに
話していたのはこの事かと思いました。
僕は、とんでもないことになってしまったなと思うと同時に、
へーこんな辞典があるのかと思いながら、
本の中を見ました。
本の中は、国語、算数、理科、社会と教科ごとに別れていて、
今の僕でもわかるように、とても読みやすく書いてありました。
理科の所では、色々な動物や植物の絵が一緒に載っているでは
ありませんか。
すると、今僕が学校で先生に教えてもらっている所が
色々、詳しく書いてあるではありませんか。
それからというもの、学校では先生の話す授業をよく聞くようになり、
先生から出されたプリントの宿題は、その本をみて調べたり、
わからない所は、ねえちゃんに聞いたりしています。
その時、ねえちゃんは、辞典を見ながら、詳しく、丁寧に
先生に聞いてないようなことも教えてくれます。
そして、宿題やって、翌日、学校へ持って行くようになりました。
すると、だんだん、学校の授業が面白くなりました。
返してもらうプリントに先生の採点が載ってくるのですが、
だんだん、良くなっていき、五重〇(マル)が多くなってきました。
そして、一学期が終わる時、先生から通知表をもらいました。
その時、先生は、
「小田君、山田先生から聞いていた小田君とは、
全然違うけど、どうしたの?」
と聞かれました。
僕は、先生に嫌われたくないから頑張っていますなんて言えないので、
「うーん、へ、へ。」
とニコとして言うだけでした。
そして、夏休みを迎え、自分のできる範囲で
又、分からない所はねえちゃんに聞きながら、
夏休みの宿題をやっていき、2学期が始まりました。
2学期も、1学期の続きの感じで過ごし、
そして、3学期末の通知表をもらいました。
通知表の中を見ると、僕もびっくり、国語・算数など
主要教科が、1・2年の時より全体的によくなっていました。
すると、所見欄に、
よく頑張りましたね、4年生になっても、
この調子で頑張ってくださいと書いてありました。
僕は、またまたうれしくなって、
よーし、4年生になっても頑張るぞ、
先生、見ててと心の中で思うのでした。

