9:先生の思惑(前半)
4年生の担任は、やはり野田先生でした。
4年生になると、更に勉強が難しくなると思い、
僕は、かあちゃんに、また4年生用の学習辞典を買って
きてほしいと頼みました。
すると、かあちゃんはねえちゃんに頼み、ねえちゃんは
僕に分かりそうな本を買ってきてくれました。
今度は、各教科別々になった本を買ってきてくれました。
僕は、それを見て勉強しよう、先生の授業をもとに出される
宿題などをやっていこうと思いました。
4年生になると、学校の色々な役をやるようになります。
生徒会や生物班などがあります。
1学期が始まって、すぐに、先生が
「小田君、今度図書委員やってくれない?」
と言ってきました。僕は、
「うん、いいけど、どんなことするの?」
と聞くと、先生は
「主に、図書室の本の貸し出しの
お手伝いをするの。
上級生もいるから、その子たちにやり方聞いて。
そこの顧問の先生は、山田先生だからね。」
と言いました。
山田先生は、僕の1・2年の時の担任の先生です。
だから、僕は少しうれしいようなうれしくないような
気持ちでした。
でも、全く知らない先生よりましかと思いました。
1週間ぐらいして、野田先生から今度の火曜日に
図書委員会があるので、それに出るように言われました。
そして、図書委員会に僕は出ました。
そこには、山田先生と6年生~4年生の子がいました。
各学年、4~5人でした。
そこで、色々話を聞きました。
各グループに、6年生、5年生、4年生各1人で、
すでに、グループ分けは決まっていました。
僕は、月に2回ぐらいの当番です。
火曜日と金曜日が本の貸出・返却日になっていました。
山田先生が、
「小田君、最初は上級生の子のやることを見て、
又、教えてもらえばいいよ。」
と言われ、僕は
「はい。」
と答えるだけでした。
僕は、いままで図書室とは全く無関係だったので、
色々、新鮮でした。
僕は、最初、上級生のやっていることをじーっと見ていました。
そして、図書室には色々な本があることを知りました。
そして、暇な時、色々な本を見ていました。
その時でした。
いつも朝一緒に学校に来る2年生の女の子が
急に僕に話しかけてきました。
「小田にいちゃん、この本借りたいんだけど。」
僕は、
「うん、わかった。
僕が手続きしてあげるね!」
と言って、急だったけど、いつも上級生がやっている事を
思い出しながらやりました。
そして、その女の子は続けて、
「小田にいちゃんは、どんな本よんでいるの?
何が、1番面白かった?」
と、立て続けに聞いてきました。
僕は、その返答に困ってしまいました。
なぜなら、僕は本を借りて読んだ事がなかったからでした。
「うん、別にこれといってないな。」
と、咄嗟に言ってしまった。
女の子は、
「ふーん。」
と言って、本を抱えて静かに図書室から出ていきました。
その時、山田先生は、何気なしにその様子を見ていたようでした。
僕は、頭の中が、さっきの事でいっぱいで、
僕も何か本を借りて読まないといけないなと思っていたので
先生が見ていたとは、全く気付く余裕もありませんでした。

