10:初めての賞状
夏休みに入ると、夏休みの宿題もやりながら、
借りてきた本も、読み始めました。
本の中の言葉はわかりにくい所が多かったけど、
そこは、ねえちゃんに聞いたりして
教えてもらいながら読んでいった。
夏休み前に、(小学生の感想文)という本を読んで、
前もって、少し準備していた事もあり、
とてもスムーズに進められた。
僕は、一応、3冊を一気に読んでから、
じいちゃんに、3人の事を聞いてみた。
すると、じいちゃんは、
「ケン坊、そんな難しいのを読んどるのか。
じいちゃんは、詳しい事はわからないけど
どの人も、昔、苦労して
一生懸命努力した人だったと思うよ。」
という返事でした。
僕は、なるほどと思った。
それから、とうちゃんにも聞いた。
すると、とうちゃんは
「それぞれ、生きた時代が違うけど、
ケンちゃん、今よりずーっと不便な時代に
生きていた人たちだから、今とは比較にならない。
だから、その人たちの生きた時代と今と比較して
考えてみたらどうかな?
徳川家康や、二宮金次郎の時代は、今みたいに車はない。
又、野口英世の時代は、今みたいに薬はない。
そのような、今との時代との比較をしながら、
考えるのも、面白いと思うよ。」
という返事でした。
僕は、なるほどと思い、もう一度、3人の本を読んだ。
夏休みも終わりに近づき、まとめに入った。
僕は、国語は苦手な方だけど、
じいちゃんや父ちゃんの意見も、正直に書きながら、
自分の感じた事・思った事を、自分の言葉で書いた。
夏休みが終わり、夏休みの宿題と一緒に
(自由研究=偉人たちの感想)として野田先生に渡した。
野田先生は、まだ、中を読んでいないのに、
「小田君、よくやったね!
中、これから読むけど、
一つの目標を自分で作って、やり切ったことは、
先生、誉めたい。」
と言ってくれた。
僕は、先生に褒められ、ますます、うれしくなってしまった。
僕は、よーし2学期も頑張ろうと思うのでした。
僕は、図書室に本を返しに行くと、山田先生がいて、
「小田君、本当に感想文 書いたんだね。
山田先生から聞いたよ。
中、少し、読ませてもらったけど、
なかなか、いいね。」
という言葉をもらった。
僕は、山田先生に褒められてますますうれしくなりました。
そして、10月中頃に、野田先生から呼び出され、
僕の自由研究が県の優秀賞として表彰されたことを聞きました。
数日して、校長先生から全校生徒の前で賞状をもらいました。
僕は、生まれて初めて賞状をもらい、
家に帰って、家族みんなに見せ、話しました。
じいちゃんにも話しました。
みんな、喜んでくれました。
しかし、僕は心の中ではそんなに凄いとは思っていませんでした。
と言うのも、あの(小学生の感想文)と言う本を読んで、
色々準備して、その流れに従って書いただけだったので。
しかし、4年生の終わる頃、
僕は、学年の成績が中から上の方へ上がっていきました。
そして、野田先生は、
「小田君、君はどうゆう勉強をしているの?
先生、すごく、不思議。
色々な子見てきたけど、
小田君のような子は初めて。」
と言うのでした。
僕は、
「うーん・・・」
と言って、やはり何も答えれませんでした。

