1:募る不安(1/2)

<ゴーン、ゴーン>
夕方になると、どこのお寺からも鐘の音が聞こえてくる。
今日も聞こえてきた。
秋の日はつるべ落としのごとく、最近はその鐘の音も暗くならないと
聞こえなくなってきたように、洋(ひろし)は感じていた。
秋も深まってきた証拠だ。
そして、今日は大晦日。
夕方、母ちゃんは、ここ数日、年越しとお正月の準備で
忙しくしていたが、大分できてきたようだ。
洋も冬の友などの冬休みの宿題があるので、
あまり、遊んでいられない。
しかし、冬休みなので、勉強はそこそこにして
毎日を過ごしていた。
洋は、小学6年生、来年は中学生になります。
洋には、父ちゃん、母ちゃん、そして3つ年上の姉ちゃんの
4人家族です。
父ちゃんが、数日前
「洋、大晦日の晩、夜0時に合わせて、神社の隣にあるお寺に
鐘を突きに行くぞ。」
と、言っていたので、洋は
「うん、分かった。」
と、答えていた。
それも、冬休みの楽しみのひとつになっていた。
数年前から、父ちゃんと一緒に家族そろって毎年行くようになっていた。
今年も、大晦日になり、家族そろって年越しそばを食べ、
神社、そしてお寺に行きました。
洋は、母ちゃんからお賽銭をもらって、神社にお参りしました。
洋は、今年も1年元気に宜しく、又 今年は中学生になるので
中学校に行ってもうまくやっていけるように願いました。
それから、お寺の鐘を突きに行きました。
そこのお寺に行くと、夜遅いのに、近所の人がいっぱい来ていました。
お寺では、0時になるとお寺の和尚さんが最初鐘を突き始め
それを合図に順番に鐘をついていきます。
ここのお寺の和尚さんは、洋の2つ下の隆(たか)ちゃんのおじいさんです。
そのお寺、神社は、小学校へ行く途中にあり、よく遊んでいました。
その為、神社で遊んでいると、隆ちゃんも一緒に遊んでいました。
よくやっていたのは、草野球遊びでした。
その時は、近くの子供たちも一緒になってやっていました。
だから、遊び終わってからも、隆ちゃんの家に行く事もたまにあった。
それで、和尚さんを知っていました。
一人、2~3回 鐘を突きます。
全部で、108回突くそうです。
洋も、姉ちゃんも突きました。
洋は、鐘を突いた後、同じように、今年1年をお祈りしました。
今年は、なんといっても一番の不安は、新しい中学校の事でした。
ほかの小学校のからくる新しい友達とうまくやっていけるか?
新しい勉強についていけるか?
それが一番の不安でした。
というのも、小学校の同級生は31(±1)人の為、
1年生から6年生まで1クラスでした。
その為、同じ顔を見てやってきました。
しかし、今度は違う。
姉ちゃんから聞いているのは、
ほかの小学校の子が何人ぐらいいるかわからないけど、
姉ちゃんの時は、最初は全部で152人だったので、4クラスになったとの事。
ほかの小学校は、2つある。
小学校6年担任の林先生に他の小学校の事を聞いた所、
林先生は、ほかの2つの小学校は、僕の小学校より、人数多いとの事。
ほかの2つの小学校の人数は、
それぞれ60~70人ぐらいいて、2クラスづつあるという。
それを聞いて、ますます不安になっていたのでした。
洋は、今の小学校では勉強は中ぐらい。
でも、体を動かすのは得意で、体育は好きでした。
同級生の中では、出来る方でした。
でも、中学校になったら・・・。とても不安でした。