1:募る不安(2/2)
お正月も終わり、3学期が始まりました。
「冬の友」や、それ以外の宿題を林先生に出しました。
すると、林先生は
「あと3か月で小学校を卒業するので、残り少ない日々を
悔いのないように過ごしましょう。」
と、言いました。
しかし、洋は、それも大事だけれど、中学校に行ってからの事が
もっと、心配でしかたなかった。
家に帰ってから、母ちゃんにその事を話しました。
すると、母ちゃんは、
「大丈夫、大丈夫。
みんな、そうやってきたから。
そんなに心配だったら、姉ちゃんに聞いてみな。」
と、簡単に言いました。
それで、姉ちゃんに聞いてみました。
すると、やはり、母ちゃんと同じ返事が返ってきた。
「大丈夫、大丈夫。
姉ちゃんも、最初は少し不安あったけど、
学校に行き始めたら、どうってことなかった。
洋も行くと分かると思うよ。」
と言うのでした。
洋は、そうかなっと思っていると、父ちゃんが、
「洋、今度の休みに、隣町の自転車屋さんに行って、
洋の自転車買いに行かないか?」
と、急に言い出した。
父ちゃんは、急ではなく、洋が母ちゃんや姉ちゃんに話しているのを
聞いていて、洋がどうしたら元気になるかを考えていたのでした。
そうして、思いついたのが、洋に自転車を買ってやるのは
どうかなと閃いたのでした。
洋は、
「え・・・。新しい自転車 買いに行くの?」
と、驚きとうれしさと混ざった返事をした。
そうだ、すっかり忘れていた。
中学校へは、自転車通学になるのだった。
洋は、先ほどの中学校にいく不安もあったが、
自転車を新しく買ってもらえることで、
その不安が何だか少し薄らいだ気になっていた。
父ちゃんは、しめしめと思い、続けて、
「そこで、洋の好きな自転車選べ。
そこは、姉ちゃんも買った店だからよく知っている店だ。
そして、その新しい自転車に乗って、元気に中学校へ行け。」
と言うのでした。
洋は、うれしくなっていて、今度の休みが待ち遠しくなっていました。
そして、次の休みの日、自転車を決めてきました。
色々な自転車があって迷ったが、洋は一番気に入った自転車にした。
数日してから、新しい自転車は、我が家に届きました。
小学校では、順々に色々な準備が進み卒業式を迎えました。
卒業式に、父ちゃんは、仕事で来れなかったけど、
母ちゃんと行った。
そして卒業式は滞りなく終わった。
林先生が、最後にみんなに話をした。
「みんな、6年間、よく頑張ってきたな。
多少、けんかもしたかもしれないが、無事6年間
この小学校に通って卒業してくれた。
4月から新しく中学校にいってもほかの小学校の子たちと
仲良く元気に、又 負けないように頑張ってほしい。」
洋は、先生の言っている意味が少ししか分かりませんでした。
ただ、ほかの小学校の子と仲良くできるのか?
中学校の生活がうまくできるのか?という事であれば、
それは、今の洋にはわかりませんでした。
ただ、不安しかありません。
だって、小学校6年間は、ずーっと同じ子たちとやってきたのに、
中学校では、そうじゃない。
そんなことを思いながら、小学校の門の所まで来ていました。
ほかの子たちは、先生やほかの子と和気あいあいと最後の
挨拶をしていました。
母ちゃんは、小学校の隣の給食センターで働いていたので、
先生も、又、他の子の母さんたちも知っていたようでした。
母ちゃんは先生や他の皆さんと最後の挨拶をしていました。
3月末と言うのに、小雪が舞って北風の強い寒い日でした。
洋はその輪に入れず、すぐ走って家に帰ってしまいました。
洋にとって、小学校の卒業式はあまりいい思い出に
なりそうではありませんでした。

