雑学(32)公序良俗と人間の尊厳について

公序良俗とは、公の秩序と善良の風俗の略です。
公の秩序とは、国家社会の一般的利益の事。
善良の風俗とは、社会の一般的道徳観念を意味します。
公序良俗に反する法律行為、及び公序良俗に反する条件を付けた
法律行為は無効である。
日本の民法では、公序良俗に反する事項を目的とする法律行為は
無効であると定めています。(民法90条)
では、公序良俗とはどうゆう事か?
1,人倫に反するもの
 母と子が同居しないという契約、妻と離婚して結婚するという予約など。
2、正義概念に反するもの
 犯罪、その他の不正行為をなす契約、対価を与えて悪事をなさしめる契約、
 競争入札における談合行為など
3,他人の思慮緊迫に乗じて不当に利益を得る行為
 相手方の緊迫に乗じて、金銭を短期間賃与し、起限徒過の場合には、
 債権額の8倍強にあたる不動産を代物弁済とする契約など。
4,個人の自由を極度に制限するもの
 人身売買的な契約など
5,営業の自由を極度に制限するもの
 時期・場所・営業の種類のいづれについても、限定を付さない
 競業避止契約など
6,著しく射幸的なもの
 賭博など。ただし、法律上許容されているものは除く。

要するに両者を別々に区別する必要はなく、行為の社会的妥当性が
あればよいのである。
行為自体ではなく、その前段階である動機について、
社会的妥当性を欠く場合、全体として、
公序良俗に反するとされることもある。

しかし、人間の尊厳は、この公序良俗の上位にくるもののである。
人間の尊厳は、国の最高法規である憲法13条の中でもうたわれている
最重要の概念です。
尊厳、すなわち、人間がお互いを人間として尊重すべきという事が
平等主義や基本的人権の根拠になっています。
国家において、法律とは、その国の理想を表すものではない。
あくまでも、最低限の倫理にすぎません。
ですから、より優れた社会においては、法律が遵守されるだけで
良とはされず、より高い理想を倫理として教育され、定着しています。
尊厳は、最低限の倫理なのです。
尊厳が守られるということは、理想でなく、最低限の最も大事な
約束事として認識される必要があるということのです。
誰もがその生命、生存を尊重された状態であることは、現代社会の
構成する基礎なのです。
尊厳のない状態とは、みじめな思いが強要される状態に他なりません。
いじめ・パワハラ・セクハラも、相手に対して、みじめな思いを
強要するものです。それは、相手の尊厳を傷つける事であり、
だから、違法行為として罰せられるものになっています。
ただし、注意したい事は、それが自分自身の責任・行為よって
そうなっている場合は、尊厳の問題でないという事です。
他者からの言動・行為によって、恥ずかしくて泣いている人がいる状態は、
尊厳が守られていないという事になります。

そういった思いで、今の社会、日本、又、世界に目を向けて見る時、
私は、色々、感ずる所があります。