6:ポチの一人散歩(前半)

次の日から、僕とポチの生活が始まりました。
僕は、朝起きると、すぐポチの所に行った。
もう、ポチは起きていた。
「ポチ、おはよう。ご飯持ってくるね!」
と、当然、犬には何のことなのかわからないのに、言ってしまった。
母ちゃんに、ポチの御飯をオワンにつけてもらい、持って行った。
すると、ポチは御飯がもらえる事が分かって、
嬉しそうに尻尾を振ってくれました。
ポチは、首についた縄を、少し苦にしていたが、
ご飯をあげると、縄の事は忘れ、嬉しそうに一気に食べてしまった。
ポチが、ご飯を食べ終わるのを見て、僕は、
「ポチ、又ね!」
と、言って、学校に向かった。

学校が終わると、僕はすぐ、家に向かった。
ポチは、寝ていたが、僕が帰ってくるのに気が付くと、
起きて、嬉しそうに又、尻尾を振ってくれた。
玉葱小屋の柱に括り付けてあった縄を外し、
初めての散歩に出かけた。
すると、ポチは嬉しそうに僕の後について歩いてきた。
ポチは、時折、僕の前を歩いたりもしたが、
まだ道が初めてでわからない為、
あっちうろうろ、こっちうろうろしていた。
やはり、まだ初めて見る物ばかりなので、
歩く道、すべて新鮮だったであろう。
ただ、道と言っても、雑草が良く茂った道でしたが。

家に帰って、暫くすると、父ちゃんが帰ってきて、
「友仁、、犬の首輪とくさり買ってきたよ!」
と、言って、僕にそれを渡してくれた。
僕は、ポチの所に行って、
「ポチ、これが新しいポチの首輪だよ!
これでいいね!」
と言った。
父ちゃんが、又、付け替えてくれた。
ポチは、最初は嫌そうにしていたが、すぐに慣れおとなしくなった。

そうして、数日が過ぎました。
同級生のひろし君に、ポチの事を話した所、
ひろし君が、
「一度、連れてきていいよ!」
と言ったので、
「じゃー、今度の土曜日の昼から行くね!」
と、僕は答えた。
この当時の学校は、土曜日は午前中だけ授業で、午後はなかった為でした。 

僕は、家に帰り、お昼ご飯を食べてから、ひろし君の家に向かった。
家を出て暫くすると、例の怖い犬がいる家の前に差し掛かった。
僕は、その犬が吠えて、僕も怖いけど、ポチも怖がって
逃げるのではないかと、心配していました。
でも、今回は通ることにしました。
僕は、又垣根からそーと覗いてみました。
やはり、その犬は寝ているようでしたので、
そーと通り過ぎようと足を出した瞬間、
やはりその犬は人の気配に気づいて、
「ワンワン、ワンワン」
と、大きく吠えました。
僕は、やばいと思って、ポチの鎖を引っぱって走り過ぎようとしました。
しかし、ポチはその犬を少し見て何食わぬ顔でゆっくり歩くのでした。
その犬は、その後、一度ワンと吠えたが、前のような吠え方でなく、
弱々しい吠え方でした。
僕は、ビックりしました。
ポチは、なんて強い犬なんだ。
こんな小さい犬なのに、あの大きな犬を怖がらないなんてと、
心の中で思った。