1:相撲対決(前半)
「はーるよ来い、はーやく来い
あーるき始めたみいちゃんが
あーかい鼻緒のじょじょはいて
おんもへ出たいと待っている。」
ねえちゃんがこの頃この歌をよく口ずさんでいます。
僕は小田健人(おだけんと)と言います。
ねえちゃんは四つ上で、優子(ゆうこ)と言います。
僕は、ねえちゃんを名前で呼ばないで、いつもねえちゃんと呼びます。
僕は、この春から保育園に行くことになります。
保育園は、小学校の隣にあるので、
ねえちゃんは、この春から僕と一緒に小学校へ
行けるのが楽しみなのでした。
僕も保育園に行くのに、知らない道をてくてく歩いて行くより
ねえちゃんと一緒の方が心強いです。
とおちゃんは、近くの農協にいき、かあちゃんは、
小学校の給食センターとかに行っています。
僕は、とうちゃんの生まれた家が歩いてすぐの所にあるので、
そこのじいちゃんやばあちゃんの所によく行っています。
じいちゃんがテレビを見ていると僕も一緒に見ています。
じいちゃんは、よく相撲を見ていました。
夕方になると、ねえちゃんか誰かが僕を迎えに来て家に帰る。
保育園に行くまではそんな毎日が続いていました。
僕は、保育園に行くまでは、近くに僕と同じ年の子が
いるのかいないのかまったく分かりませんでした。
しかし、保育園に行くようになると、近くに色々な子や
同い年の子がいる事がわかりました。
僕は小さいころから体が弱くてすぐおなかをこわしたり
熱を出したりしていました。
その為、かあちゃんはぼくには食べ物に注意して、
なるべく柔らかい食べ物、消化のいい食べ物を
作ってくれていたようです。
その為、友達から
「ケンちゃん、一緒に遊ぼう。」
と誘われても、なかなか
「うん」
とは、言えず、みんなが遊んでいるのを見ていることが多かった。
家に帰っても、ねえちゃんが、僕の遊び相手になったり
色々世話をしてくれていました。