11:言ってはいけない言葉(後半)
家に着く頃には、さすがに泣きやんでいましたが、
ねえちゃんが家に帰っていて、ねえちゃんが
「どうしたの、ケンちゃん、誰にいじめられたの?
そんなに泣きはらした目をして?」
と聞くのでした。
でも、僕はそれには直ぐ答えられませんでした。
かあちゃんも帰ってきて、僕に何があったのか聞くが
答えれませんでした。
翌日は日曜日でした。
僕は、じいちゃんの家に行って、じいちゃんに
昨日、こういうことがあって、教頭先生に
凄く叱られたことを話しました。
確かに、僕が家に帰らず、遊んでいたことは
良くないことだとはわかっていました。
しかし、なぜ絶対という言葉を言ってはいけないのか
意味がわからないと言いました。
すると、じいちゃんは、
「ケン坊、詳しいことはわからん。
だけど、相撲でも、横綱でも負ける事がある。
横綱だから絶対勝つとは言えないんだ。
相撲の力士は、みんな体一つでぶつかっていく。
そこが面白いんだな。」
と言います。
僕は、分かったような分からないような状態でした。
ただ、これからは、人に話をする時は言葉に気をつけないと
いけないという事でした。
それから、僕は学校へ行き、教頭先生を見かけると
教頭先生から隠れるようになってしまいました。
数日して、僕がたんぼで水路飛び練習をしている時、
じいちゃんが来て、
「ケン坊、この前話していた事、
内容、良くわからないけど、
叱られることは良いことだぞ。
誰でも、叱られなくなったらだめだ。
おそらく、その先生はケン坊に
もっと、大きな子になってほしいと思って、
叱ったんだと思うぞ。」
と言うのでした。
僕は、
「ふーん、」
と答えたが、まだ、はっきりわかりませんでした。
そして、続けて
「じいちゃん、水路この先どうすればいい?」
と聞きました。
というのは、水路の1番先の幅の広い所まで、
飛べるようになっていたからです。
すると、じいちゃんは、
「これからの事は、ケン坊が自分で考えなさい。」
と言うのでした。
「ふーん、分かった。」
と答えるだけでした。
僕は、家に帰って、この前学校で叱られたこと、
水路の事、かあちゃんに話しました
すると、かあちゃんは
「ケンちゃん、そういえば
ずーと、相撲取っていなかったね。
これから、相撲取ろう。」
と言うのでした。
僕も、そういえばかあちゃんと暫く相撲
取っていなかったなと思い、
「そうだ、取ろう。」
と言い、かあちゃんが、
「はっけよーい、のこった。」
と言って、僕は思いっきりぶつかっていきました。
すると、どうでしょう。
僕は、かあちゃんの体が前より小さく感じ、
また、力も弱く感じ、少しづつ押して、そして勝ちました。
かあちゃんは、
「ケンちゃん、力ついて強くなったね。
もう、かあちゃん勝てないな。」
と言うのでした。
そして、続けて、
「ケンちゃん、
これから、ケンちゃんに色々な力がついていくと思う。
だけど、こういう言葉があるよ。
実るほど 頭を垂れる 稲穂かな
これからは、ケンちゃん
言葉には気をつけて、
人に威張ってはだめだよ。
悔しい時は、グーっと我慢して、
それをばねにしていきなさい。」
と言うのでした。
僕は、その日は、じいちゃんの言う事、
かあちゃんの言う事を思い出し、寝ました
次の日、学校へ行き、なぜか教頭先生に会いに行きました。
そして、僕は、大きな声で、
「教頭先生、おはようございます。」
と言うのでした。
教頭先生は、何が起きたかわからない様子でしたが、
暫くして、
「おはよう。」
と、笑顔で返事してくれたのでした。

