11.6 狩猟採集民族への歩み

祖先である狩猟採集民の食習慣は、一般的に食糧は不足していた。
集団の規模は、数十人、最大でも数百人であった。 又、近隣の集団とは、
資源を求めて競い合い、戦うこともあったが、 友好的な接触もしていた。
人的交流も行い、一緒に狩りをしたり、希少な品物の交換をしたりしていた。
政治的同盟を結んだり、宗教的な祝祭を行ったりした。
そのようなことが、ホモ・サピエンスの重要な特徴の一つでもあり
その点が、他の人類種よりも決定的に優位に立たせた原因でもあった。
近隣の集団との関係が段々緊密になり、単一部族を形成し 共通の言語、
作法(狩猟方法、採集方法など)、価値観を持つこともあった。
ホモ・サピエンスは、約1.3万年前頃までは、広大な地球の大陸の中で、
ポツンポツンと点在していた。
食料資源が非常に豊かであるという例外的な場合を除いて 季節ごとに
あちらこちら移動はしていた。
彼らは、生き抜くために色々な知識も取り込んでいった。
彼らは、周囲の動植物や土地状況だけでなく、自分自身の体の事や
感覚という内面にも精通していった。
草陰のほんのわずかな動きにも耳を傾け、そこにヘビなどが潜んでいないか
などを体得していった。
殆んど音もたてず最小限の動作で動き、最も効率的なやり方で歩きまわていた。
たえずさまざまの形で体を使っているため、今日の人で何年もヨガや
太極拳等で鍛えた人でさえできないような身のこなしを習得していた。
そうでなくては、生き残れなかったのである。